谷川岳山開き号に乗って

7月7日の山行のお話。

7月2日は谷川岳の日。毎年その週の週末には、臨時快速「谷川岳山開き号」が運行される。23時過ぎに上野を出発し、午前3時に土合駅に到着するという、まさに谷川岳登山者にとってはありがたい列車。快速だが510円の指定券が必要で、今年は油断していたら早々に売り切れてしまい無理かなーと思っていたものの、ダメ元でキャンセル待ちをしておいたら、1週間前に1席ぶん確保できた。わざわざキャンセルしてくれた人ありがとう(キャンセル料が500円かかるので、キャンセルしない人が多いのだ)

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てなわけで、この列車に乗って谷川岳に行くのも、なんだかんだで今年で3年連続3回目。午前3時着で、準備も含めて早ければ4時の夜明けとともに登山開始できることもあり、始発乗り継ぎではチャレンジできないルートも存分に楽しめる。
とはいえ、土合口からの未踏ルートもそんなに残っていない。
去年と同じく、もう一度中芝新道にチャレンジしようとも思ったんだけど、2年連続はなーと感じ、とりあえず未踏であった巌剛新道で上がることにする。

今日は臨時列車に合わせて、ふだんは7時スタートのロープウェイも5時から動く。列車を降りた登山客は、半分以上がロープウェイ駅へ。登山指導センター方面に向かった客も、大半は西黒尾根へ。厳剛新道にたどり着いたときには自分ひとりになっていた。

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天気は薄曇り、決していい天気ではないけれど、このくらいのほうが日焼けもしないしちょうどいい。マチガ沢出合に到着し、朝日に照らされる岩峰を眺めながらハイドレーションを冷たい水でいっぱいにした後、厳剛新道に入る。

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入った直後、自分の倍くらいの速度で歩くひとりの登山者に抜かれた。背中にはロープとヘルメット。東尾根でも登るのだろうか。

道は沢筋を詰めながら徐々に西黒尾根寄りに道を変えてゆく。昨日の雨で道がプチ沢になっているのはご愛嬌。新調した靴を豪快に濡らさないようにだけ注意しながら登る。

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景色が開けると、右側にはマチガ沢が一望できる。眺望のない鬱蒼とした樹林帯をしばらく登らねばならない西黒尾根に比べると、景色を楽しめる。

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途中、マチガ沢に降下できる「見晴台」があるはずなのだが、標識を見つけられずに歩く。ふと雪渓に目をやると、さきほど追い抜かれた登山者が雪渓を詰めていた。
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中央の赤い点が登攀者。おわかりだろうか。
大滝の右側を巻いていたので、やはり東尾根のようだ。どんなふうに登るのか興味はあったが、これを眺めていては時間がいくらあっても足りない。休憩がてら5分程度眺めた後、また登りはじめる。



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マチガ沢の景色からだんだんと遠ざかり、誰もいないはずの登山道になぜか人の声がする。その声が西黒尾根を登る人々の声だと気づくのに少し時間がかかった。そしてまもなく、西黒尾根との合流地点であるガレ沢の頭に到着。

ここで巌剛新道は終わり。体感的には意外と短かったが、なかなかに楽しめたルートだった。ひとりで登ることはあまりないだろうが、他の人と登るときはここに連れてくるのもいいかも知れない。

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あとはお馴染みの西黒尾根を詰める。見慣れたルートとはいえ、この岩稜を登るのはそこそこ注意を必要とする。時々空から雨粒が落ちてきて、雨具をつけるかどうか悩むとやむ、そしてまた降る…の繰り返し。

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ゆるやかな笹原と未だ残る大雪田(の残り)が見えたら、もうそこは肩の小屋が近い。いつもの、人の賑わう見知った谷川岳だ。



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トマの耳に辿り着き、オキの耳はスルーしつつ肩の小屋で早めの昼食。まだ9時前だが腹は減った。

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いつ見ても、万太郎山への稜線は美しい。



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1時間くらいゆったりして、早々に下山を開始。ただそのままロープウェイ駅に降りるのではつまらないので、一度も行ったことのない天神峠へ。

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そのまま保登野沢コースを降りることも考えたが、下山とはいえ睡眠不足のなか、さらに3時間歩く気も起きないので、結局はそのままロープウェイ駅に降りてしまった。保登野沢はまた今度。

しかしこれが結果的に大正解。バス経由で水上駅について帰りの列車を待っていると、とてつもない豪雨が。あわててスマホで雨雲レーダーを見ると谷川岳を直撃している。もしあのまま頑張って保登野沢を降りていたら、今頃ひどい目に合っていたに違いない。ほっと胸を撫で下ろす。

水上駅はSLみなかみ号の運転日ということもあり、鉄道マニア含め多くの人でごった返していた。SL待ちの客の合間を縫うように先発の普通列車に乗り込み、いつものように八木原駅で下車しスカイテルメ渋川を目指した。

今回、巌剛新道をやっつけたことで、谷川岳山頂に繋がる登山コースで未踏なのは、保登野沢コース、中ゴー新道、いわお新道、田尻沢コースの4つを残すのみとなった。いわお、中ゴーは夏はヤマビルが出るらしいので雪の降る前の秋だろうか。最後まで未踏なのはロープウェイと並走してる田尻沢コースになるような気がしている。

ともあれ、今回の山行も無事に終了。谷川岳はまだまだ面白い。

[リンク]Flickr/130707_谷川岳_巌剛新道