さようなら…自由なTwitter

2023年3月30日、Twitter API有料化の詳細が発表された。

すでにさまざまな場所で言及はされているが、BASICプランの「Read上限が10,000ツイート/月」というのは、Twitter連携サービスにとっては致命的な制限だ。

理由はうるし氏のnoteに簡潔にまとめられているので、事情を把握していない方はご一読をオススメする。

note.com

 

自分も今までWebサービスを作成してきて、その中にTwitter連携機能を数多く盛り込んできた。現在ではTwitterの情報をキュレーションするサービスに力を入れていただけに、いろいろと思うところは多い。

Twitter上の情報を整理し、分析している関連サービスは、ほぼ継続が不可能といってもいいだろう。

 

はっきり言って状況は絶望的だ

それでも30日の発表から、サービス継続断念を表明しているところが少ないのは、各運営者が可能性は低くとも「どうにか続ける道はないか」をギリギリまで模索しているからなのだと思う。それが利用してくれているユーザーへの、最大限の誠意に違いない。

 

そもそも、Twitter社にはAPIの有料化で稼ぐ気がない

Basicプランの価格はHobbyistには高いかもしれないが、法人組織には安いくらいだ。現在、無料で使えているAPIの制限を拡げるプランを段階的に10〜100万円/月の範囲で設定したのであれば、支払える企業もそこそこあるだろう。事実、自分の会社はそうだ。

しかし、Basicプランの上はEnterpriseとし、報道によれば最低でも$42000(約560万円)/月 という。中間の価格帯を作らず、よほどの大手でなければ手の出せない価格を設定したのは、Twitter社が守銭奴だからではなく「もうAPIは使ってくれるな」という意思表示に他ならない。

 

想像もつかない速さで拡大を続け、もはや全貌のわからないインターネットの世界。Twitter APIを使えば(広い世界のごく一部にすぎないかもしれないが)Twitterの膨大なビッグデータに自由にアクセスできる。Twitterは「Webマッシュアップ」においては欠かせない存在だったし、先駆者だった。

インターネット上で、工夫次第でさまざまなジャンルの世界を可視化できるかもしれない…そんな夢を見させてもらった。

 

夢は醒め、自由は終わろうとしている

おそらく、いや確実に、「さまざまなサービスのアクティビティをチェックできる」ハブとしてのTwitterは、終わる。でもそれはTwitter自身が望んでいることだ。これからは、APIを軒並み廃止したFacebookInstagramのような方針でサービスの運営をしていくのだろうか。

 

とはいえ、Twitter社の決定を、いまさら恨むこともない。

考えてみれば、僕らに与えられた自由は、誰かの犠牲のうえに成り立っているものだった。僕らが自由を享受している間、その負債をTwitter社はすべて担っていた。慢性的な赤字体質を抜けられず、こうなることは必然だったのかもしれない。

すっきりとはしないが、今はこの事実を受け入れるしかない。

 

Twitterによれば、旧来のAPIは30日以内に停止するという。そのタイムスケジュールが予定どおり実施されるかはよくわからないが、すでにBasicプランへの登録が始まっている以上、v1系列をはじめとした無料のAPIを提供し続ける期間は、そう長くはないだろう。「Xデー」はいつかやってくる。

 

さようなら、自由なTwitter

そして、今までありがとう。