金精峠を越えて沼田へ

8月22日・土曜日のお話です。ひとつ前のエントリのつづき。

ようやく8%の金精峠にチャレンジします。ここから沼田まで、まだ70キロ。今日はまだ30キロしか進んでいません。まあ、ほとんど下りだからいいんですけどね。前回はここの時点で16時過ぎ。10月だったので、あたりは夜のとばりが降りて来たところでした。あと、山って暗くなるの早いんですよね。太陽がすぐに稜線に隠れちゃうので。
前回の絶望感からすれば、今回はまったく不安がない。まあ、トラブルで少し遅れてはいますが、まったく気にならないレベルです。てなわけで、さっそく登り開始です。

すぐにやってくる、10%の標識。
でも53T/39Tのフロントダブルなので、軍手をはめてギアを39Tのほうに入れ、リアも一番軽くして登りはじめます。
前回はフロントシングルの状態でチャレンジしたので、とても登れず…しばらくしてすぐに歩くようになってしまいました。フロント53Tでの一番軽いギアだと、やっぱり登れるのは6%くらいまでがギリギリってところですね、俺の脚力だと…。まあ、8〜10%もそこそこ辛く、まったく休みなしで登るにはキツいのですが、とりあえず「自転車を漕ぐ」という作業は、させてもらえます。時速は7〜9キロくらいまで落ちますが。

最初のところのキツい登りを抜けると、ワインディングがはじまります。目の前に、次に登るべき道が、ばしばし横たわってきます。ただ、くねくねしているぶん、勾配は抑えられている感じ。感覚的には恐らく8%以下なのかなーという感じ。なにより明るいので、景色を楽しむ余裕があるのがステキ。と、しつこいくらいに書いてますけど、前回どんだけ酷い目にあったんだ、って話ですよね、ええ。いや、確か、この時点で自転車を押して登っていて…進速度は時速5キロくらい。17時も過ぎ…あたりは真っ暗。野生の猿の鳴き声だけが響き渡る、ステキな峠でしたとも! あ、あと寒くない!!

ふと後ろを振り返ると、湯ノ湖と湯元温泉街が見えます。

登ってきた道を見ても、ワインディングが楽しめます。こんな道、登ってきたんだなあとしみじみ…ある意味、これがヒルクライムの醍醐味でもあるんですけどね。辛く苦しい坂道を登っていて、時々なんのためにこんな苦行しているかわからなくなってくるわけですが、こういうのを見ると「ああ、これ見るために苦労してきたんだ…」って気分も晴れるんですよ。いやほんとに。

だいぶ登りました。中禅寺湖と、男体山がはっきり見えます。明智平の時点での曇りがウソのように、晴れてきました。まあ、いろは坂のほうはまだ雲が厚いですけれども。

ワインディングが終わりに近づき、切り通しの山肌が見え始めたら…もうすぐ峠です。
あと一息、ペダルを漕ぐ足の回転が上がります!

金精峠&トンネル キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
海抜1843メートル、本日の最高地点です。

明るいうちについてしまった金精峠は、正直ちょっとあっけないものでした。去年の10月、あんなに苦労して登った金精峠にリベンジを果たすことが出来ました!

ちなみに前回撮影した海抜の標識…見事なまでに真っ暗!
トンネルも撮影しましたが、光量が足りなさすぎて撮れませんでした(笑)。

さあさあ、ここからはお楽しみのダウンヒルです!
宿題を片付け終わった子供のように、さわやかに振る舞っていた俺ですが、ヨコで病さんが電池切れを起こしていたようです…だから最初にあまり飛ばすなと…ともあれ、ここからは下りなので、あまり脚力を使わずに済みます。まあ、下りは下りで別のポイントに気を遣わなければならないのですが…。

ここから先は、あまり写真がありません。
なぜならば、登りは、写真を撮ることを口実にして、小休憩をすることが出来るからです(笑)。下りはなるべく止まりたくないので、よっぽどの絶景が出てこない限りは、あまり足を止めて撮影することもありません。それに複数人で移動していると、撮影ポイントを見つけて「止まろうよ!!」って言おうとしたときには、すでに相手は数十メートル先にいたりして、全員をストップさせることがとてもむずかしい。

というわけで、ひたすら長い下りを沼田に向けて下ります。菅沼、丸沼を抜けて、片品村へ。その途中、何度かSPEED P8での最速チャレンジ。サイコンの数字で、最高61.7km/hまでいきました。しかしこれ以上はブレーキング競争。55以上を越えると、車体が相当揺れ出すので、かなり怖いです。地味にちょっとずつ最高速を更新していますが、フレーム的には70km/hくらいが限界じゃないかなあ…。

片品村の先に、吹割の滝という、ちょっと面白い滝がありました。

こんなの。高低差のある場所を滑り落ちるというより、平らな一枚岩を浸食しながら作っている滝、とでもいいましょうか。これはなかなか新鮮な感じでした。もっとじっくり見たかったのですが、少しずつ日没時間が押していたので先へ急ぐことにします。この先、まだちょっとだけ峠があったりするので。

自分は前回通った道、ということもあり、沼田の前にひとつだけまだ小さな峠がある心の準備は出来ていたんですが、ずーーーっと長い下りに、山登り初心者の病さんは、完全に油断をしていたようです。まあ、体力残ってなかったってのもあるんでしょうけど、そこからの登りはたいへん苦労をしていました(笑)。

実は前回、自分もハマったんですけれども(笑)。沼田まであと20キロを切った!というところで、突然現れる登りは、人の心を折るのにはじゅうぶんです。たとえ、その勾配がいろは坂や金精峠よりも、ゆるやかだったとしても、です。

病さんのペースがだいぶ落ちてきたので、自分は少し先に椎坂峠の看板までいき、後ろの病さんを応援しておりました。「ここ!ここがラストだよ!出し切れ!」と、それこそ修造ばりの応援です。いやウソですけど。

沼田に到着ー。何度となく見慣れた沼田駅。結局夜になっちゃいました。
この後、沼田駅の近く(といっても2キロくらい先)の温泉でひとっぷろ浴びるつもりでしたが、病さんの自転車分解に時間がかかることと、温泉に行くと終電(21時半)になってしまうため、ちょっとでも早く帰ったほうがいいかなということで、回避しました。

達成感で満たされると、人は疲れてしまうもので…帰りは経由の高崎駅で牛丼とチューハイを買いつつ、電車のなかでそれを食べ、そっこー眠りに落ちてました。温泉に行けなかったかわりに、家に戻って近所の銭湯でゆっくりとあったまり、また家でビールを一本飲んでさっさと寝ました。

というわけで、いかにヒルクライム輪行が楽しいかを人に教えることも出来たし、日光リベンジも出来たしで、そこそこいいロングライドでした。

病さんの地獄日記はこちらから。
後日病さんに「どうです?楽しかったでしょ!?」という問いかけをしたんですが、いまいち話を逸らされている気がするのはきっと気のせいですよね!そうですよね!