迅速な下山の手段を考える・その3

(いつの続きだ、この記事は…)
前回までは、とりあえず下山の手段として「自転車」と「キックボード」の両方を模索した。前者は持ち運ぶには重すぎ、後者は林道(荒れた舗装やダート)を下るにはスペックが足りない。どちらも「帯に短し襷に長し」ってところだろうか。ならば「自転車でもキックボードでもない何か」を考えてみるべきなのか。

そんなことを考えていた頃、ドイツのあるメーカーが、こんなものを発表した。

折りたたみダウンヒルバイク "Bergmönch"
ドイツ語読みで「ベルクメンヒ」、英語で書くとBergmonch、読みは「ベルグモンク」。2009年頃に試作品がネットに紹介されて、現地の発売は2010年頃だったろうか。発表当時は日本のネットニュースでもけっこう取り上げられていたので、見たことある人は多いかも知れない。

ひらたく言えば、ペダルのないダウンヒルバイク。そしてモスピーダ(世代がバレる)を彷彿とさせる変形ギミック。こっ…これは…!
「山に登って下山は迅速に」というコンセプトどおり。確かにこれは追い求めていた理想型…!

なのだけれども、これは荒れた登山道も下れるスペック。それゆえにタイヤ径は大きめで、構造も大きさも、一般的なMTBに準ずるもののようだ。背負ったサイズもかなり大きい。それに使い方も「下山の手段のひとつ」というより「下りを楽しむために登ろうぜ」っていう「まずダウンヒルありき」にも思えるが…。これは今はまだ日本で買える気配がない*1が、ヨーロッパにはこういうモノがあるということがわかった。さすがはアルピニズム発祥の地ヨーロッパ!(あんまり関係ない)

ベルグモンク以外にも、こういう「折りたたみダウンヒルバイク」があるんじゃないか。いや、きっとあるに違いない…! と思い、思いつくキーワードをGoogle翻訳で駆使して、英語、ドイツ語、イタリア語あたりに変換し、必死に探してみたところ…

あった! その名も "Mountainskyver"
これもドイツか! ドイツすげえ! 世界一の科学力は伊達じゃねーな!(おちついて)
動画を見る限り、ベルグモンクよりはちょっと大きくて、折りたたみギミックもちょっと違うけれど、同じようなコンセプトで作られている。製造元のSkyver Sports社から発売しているブラック+オレンジのカラーリングのオリジナルはどうも見当たらず、Ortovox社がOEM(?)で発売している、ホワイト+スカイブルーのボディの「Mountainskyver Race」はまだ流通している模様。どこかで買えるところはないものか…こちらも必死になって探したところ、みつけた! 海外発送もしてくれるイギリスのスポーツ用品系通販サイト。しかも、在庫処分でけっこう安くなっている。価格は340ポンド、日本円にすると、5.3万円くらい。この値段なら、買える!

サイトも英語だし、Paypal決済も出来るので、それほど難しくもなく注文完了。その後ショップからメールがきて、「君の国に送るにはあと120ポンド(2万円)ほど追加料金がかかるんだけどどうする?」とのこと。送料込みで8万円弱か…まあ、許容だろう。正直10万円までは想定の範囲だった。むしろ自転車のような大物をイギリスから取り寄せてこの値段は安いくらい。

本当は「船便でいいからもっと安くならない?」って交渉しようと思ったけど、数ヶ月も待たされるのがイヤだったので、そのままお願いしてしまった。英語が面倒だったわけじゃないんだよ…いや本当に!!!

てなわけで、けっこう早く到着。
わくわくしながら、箱をバリバリ開封

無造作にバラバラに入っていたものを、組み立て。


(お、もしかして…けっこうカッコイイんじゃ…?)
とりあえず、背負うかたちにもしてみよう…ところでこれ、取扱説明書とかマニュアル的なものが一切入っていなかったので、ザックの形にするのにめちゃめちゃ苦労したのは秘密ですが。

で か い!
あと、(ベルグモンクもそうなんだけど)フラットハンドルが地味に邪魔。油断するとふつうに頭にぶつかる。これは改良の余地があると思う。なぜ最初から折りたたみハンドルにしなかったの?と疑問ではあるんだけど、MTBと同等のダウンヒルをしなければならないと考えれば、折りたたみハンドルでは強度が足りないと判断したんだろうね。でも自分はそこまでハードな道を下る気はないので、後でドッペルギャンガーのフォールディングハンドルに換装するつもりです…!

と、ここまでが実は2013年夏の話。
この製品はもう売っていない*2ようなので、たぶん日本で所有しているのは自分だけ*3じゃないかしらね…。

これはこれで面白そうな乗り物なので、試乗レポートについてはまた後日にするが、「迅速な下山の手段」の模索はまだまだ続けることになりそうだ。

たぶんまだ「その4」へ、つづく。

*1:その後、日本でも輸入され発売されたのだが…お値段なんと24万円! その値段はちょっと買えない、ごめん。

*2:前述の公式サイトの更新が2011年で止まっちゃっている模様。そもそも会社としても生きているのかどうかけっこう怪しい…。なお公式Facebookは2013年まではそこそこ更新されていたが、2014年はゼロ、2015年は一度だけ。ともかくもドイツ語が読めないのでよくわからない(大学で二外はドイツ語選択だったはずなのに…)。

*3:日本語で「mountainskyver」の実機に言及しているページがひとつもない。だからこのエントリがおそらく日本初の可能性がありますね…。